みつばちマーヤの冒険
「みつばちマーヤの冒険」の原題は"Die Biene Maja"
ワルデマル・ボンザレスというドイツ人が1912年に書いた、長編児童文学
(Waldemar Bonsels 1880-1952)
アニメ「みつばちマーヤの冒険」は1975年(昭和50年)に日本で制作され
以降、オーストラリア、ドイツ、アメリカ、南アフリカ、ポルトガル、カナダ、ベルギー、フランス、中南米、イスラエル、イラン、イタリア、ギリシャ、チェコ、ブルガリア、スロベニア、ボスニア、スロバキア、スペイン、フィンランド、ポーランド、クロアチア、ハンガリー、ロシア、トルコ、レバノン、イランなど、世界各国でそれぞれの言語で吹き替えされ、放映された
原作者の国ドイツでの「みつばちマーヤ」の人気は高く
2005年には、制作30周年を記念して、テレビで再放送をしていたそうだ
今でも、子どものクリスマスプレゼントとしての
マーヤの絵本は人気が高いらしい
第一次世界対戦前後、日本とドイツとの親交は深く
大学で習う第一外国語はドイツ語がほとんどだったと聞く
その頃、日本に入ってきた文学も、ドイツ語のものが多かったのではないか
最近、図書館で発掘した昭和33年初版発行の「みつばちマーヤの冒険」
世界幼年文学全集というシリーズで、ドイツ文学者の高橋健二さんによる訳/編集
高橋健二さん(1902-1998)というと、ヘッセやケストナーの訳で有名で
「車輪の下」や「デミアン」、「ふたりのロッテ」などの翻訳で知られ
読みやすく美しい文体で、原作の雰囲気を十二分に伝えて下さる翻訳者
今なら1500円くらいはしそうなハードカバーの装丁本
昭和33年の初版本は一冊300円
昭和30年代の初任給は1万円から2万円ということなので
当時はずいぶん高価な本だったことだろう
本の中で、マーヤはMistkäfer/Dung Beetle(フンコロガシ)のクルトに出会う
"Dung"は、家畜の糞のことで、今なら「馬糞(ばふん)」などと訳すだろうが
当時はKäfer/Beetleという単語につられて、フンコロガシなのに、カブトムシの挿絵が描かれることが多かった
この本でも、どうみてもカブトムシの挿絵が描かれているが
高橋健二さんはきちんと「まぐそこがね」と訳している
「まぐそこがね…」かわいいな…
さて、この「まぐそこがね」のクルト、
じぶんが「まぐそこがね」であるのを偽って、会う人会う人に
「自分は"Rosenkäfer/Rose Beetle(ばらこがね)"です」と名乗る
実は「まぐそこがね」であることが、恋人のコオロギにばれて
「わたくし、まぐそを転がすようなかたと、おつきあいしたくありませんわ!」
と、振られてしまい
ちょっと悲しいクルトだったりするのだ
実は「フンコロガシ」って、エジプトの守り神「スカラベ」のことで
スカラベというと、日本人でもとてもありがたがるのに
所変われば、品変わる…
クルトもスカラベであることに、誇りを持って生きられたらよかったのに
さて、こちらは、日本で一番美しい昆虫の絵を描く、熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ)さんの「みつばちマーヤ」
絵本というより、画集
熊田千佳慕さんのクルトはれっきとした「フンコロガシ」
お花持って、コオロギのイッフィーのところに行くのですが、あっさり振られてしまいます
仰向けになって転がったクルトを、マーヤが助けます
その他にも、バラコガネ、トンボ、バッタとの出会いが描かれていて
眺めているだけで、その美しさ、繊細な筆致にため息が出ます
一番の見所は、スズメバチとミツバチの戦闘シーン
古本屋で手に入れた絵本なのですが
こっそり熊田千佳慕さんのサインが入ってて、びっくりしました
手放して下さった方、ありがとうございます
大切にします
さて、「みつばちマーヤの冒険」というと
やっぱり我らがチータ/水前寺清子姐さんのオープニング
先日、同僚のオーストラリア人が、このムービーを見て
「小さい頃、日本のアニメのマーヤ見てた~。」
と言ってくれて、なんだかとてもうれしくなって
日本のアニメ界って、やっぱりほんとにすごいんだ、と再認識しました
名作は語り継がれる、ということで
高橋健二さんが翻訳した本を読んで育った世代が、このアニメを制作して
このアニメ見て育った世代が、またこの作品を後世に語り伝えていくようになっていくのではないかな、と思うのでありました
Comments
ゴールド版世界名作絵文庫全24巻のうちの22巻目です。
中山知子編(訳者かな?)。
カラーは表紙と中表紙の3ページ分だけで、後は2色刷の殆どペン画ですが、リアルな昆虫の美しさは変わりません。
ここではクルトは「センチコガネ(マグソコガネ)」となっていますね。
スキャナ出来たら、こっちの方でも挙げますね。(早く出来ても5月になりますが‥。遅かったらぜひ催促してくださいませ。)
あかね書房、定価320円。
1963年7月20日第1刷、とあります。
監修が川端康成・浜田廣介・村岡花子。
(ところで、この本の裏に訳者名や画伯名が載るのですが、千佳慕の佳の字を住と誤植していました・・・。)
昆虫の世界が本当に好きだったんだろうなあ。
アニメ世代は着実に世界規模で増えていて、すでに素晴らしい絵本のように語られるようになってきているかもしれませんね。
ストーリはうろ覚えですが、キャラクターの印象ははっきり残ってます。
ただ、「チーターとみつばち合唱団」というのは今知りましたw
ドイツ語のオープニングも違和感なくていいですね(゚∀゚)
ああ、涙が。・゚・(ノД`)・゚・。
ガイレイさん、ありがとうございます。
ガイレイさんがお持ちの熊田千佳慕さんの絵本、すごく興味あります!
2色刷りのペン画ですかー。それはすごい味がありそうですね。
やはり昭和30年代出版の本だと、300円くらいの定価なのですね。
私が今回借りてきたシリーズでも
「オズの魔法使い」と「ニルスの冒険」を川端康成さんが編集されてました。
川端康成さんは、児童文学への貢献度も高かったんですねー。
んちばさん、ありがとうございます。
この絵本は、最近購入したものの中でも特にお気に入りで
熊田千佳慕さんの昆虫たちへの愛が、みちみちと伝わってくる絵本です。
なんでも、馬の毛を使った筆で、ものすごく時間をかけて描かれたとか。
そうですね。私達が見て育ってきたアニメーションは
すでに絵本を越えたジャンルの、心に残る名作揃いなのだと思います。
ここから日本の文化に興味を持って下さる外国の方も多かったりして
わりと、会話の糸口になることが多かったりするんですよね。
PointGuardさん、ありがとうございます。
やー、やっぱり「マーヤ」は水前寺姐さんですよね。
冒頭からこぶしのききかたが違います。
「チーターとみつばち合唱団」って、この歌のために結成されたんでしょうかねー。
エンディングも見たかったのですが…
(たしか「おやすみ、マーヤ」と水前寺姐さんが言うのです。)
どなたか…